「リニューアルしたい」とご相談いただくとき、最初にお聞きするのは「今のサイト、どんな状態かご存じですか?」という質問です。意外と多いのが「実はよくわかっていない……」というお答え。でも、それはまったく恥ずかしいことではありません。知ることが、すべての改善の出発点です。UXデザインの出発点を、私たちサンアンドムーンは「現状の正確な理解」に置いています。
「なんとなく上手くいっていない」を、数字で見つめ直す
「問い合わせが少ない気がする」「サイトを見てもらっている実感がない」——そんな感覚を持っていても、何から確認すればいいかわからず、なんとなく時間が過ぎてしまう。そういった状況は、中小企業のサイト運営ではよく起こりがちです。
ここで少し立ち止まって、数字で現状を確認してみましょう。どのくらいの人がサイトを訪れているか、どのページで離脱しているか、どこから来訪しているか——これらは、アクセス解析ツールを使えば見えてきます。勘や印象だけでなく、数字を通して「今のサイトの実像」を把握することが、改善の地図を描く第一歩です。
「数字が苦手」という方も、大丈夫です。最初から細かく見る必要はありません。まず「どのページが一番見られているか」「どこで人が帰っているか」の2点を確認するだけでも、サイトの課題はぐっと見えやすくなります。
アクセス解析でわかること、わからないこと
アクセス解析は便利なツールですが、万能ではありません。「何人来たか」「どこで離脱したか」は数字で見えますが、「なぜ離脱したか」は見えません。データは「何が起きているか」を教えてくれますが、「なぜそうなのか」を教えてくれるのは、ユーザーの視点からの観察や、お客様への直接的なヒアリングです。
たとえば、問い合わせページの直前でほとんどの人が帰っているとします。数字はその事実を教えてくれます。でも原因は「フォームが長すぎるから」かもしれないし、「そもそも問い合わせる気持ちになれないコピーだから」かもしれない。その「なぜ」を探るには、実際にサイトを使ってみる体験や、ユーザーの声が必要です。
データと人の声、両方を持ち寄ることで、改善の方向性がはっきりしてきます。数字はあくまで「地図」であり、現場を歩くのは、私たちの目と耳なのです。
データは、改善への地図である
現状を把握することを「診断」と呼ぶことがあります。医師が症状を聞いてから処方を出すように、Webサイトの改善も「今どういう状態か」を知ることが、正しい処方への近道です。よくある失敗は、現状を正確に把握しないまま、見た目だけをリニューアルしてしまうことです。
データを読み解くのは難しそうに思えますが、見るべきポイントを絞れば、専門知識がなくても多くのことが見えてきます。どのページが入口になっているか、どこに課題のボトルネックがあるか——これを把握してから動くのと、感覚だけで動くのでは、改善の精度がまったく違います。
データは怖いものではなく、会社の現在地を教えてくれる地図です。地図を持って進むのと、地図なしで歩くのとでは、たどり着ける場所が変わってきます。現状を知ることが、次の行動をずっとシンプルにしてくれるのです。
まとめ
Webサイトの改善は、現状を知ることから始まります。「なんとなく上手くいっていない」という感覚を、数字で確認することで、曖昧な課題感が輪郭を持ちはじめます。アクセス解析は「何が起きているか」を教えてくれる一方で、「なぜそうなのか」はユーザーの声や観察から補う必要があります。データと人の声を組み合わせることで、改善の方向性は格段に明確になります。現状を正確に把握することが、効果的なWebサイト改善への第一歩になります。
記事監修

中谷 浩和
株式会社サンアンドムーン|代表取締役
1976年創業のデザイン事務所を前身に、Webコンサルティング・UI/UXデザインを専門とする。
国際標準のUX設計プロセスを学ぶ Google UX Design Professional Certificate を取得し、 上級ウェブ解析士 としてデータ主導のサイト改善にも精通。デザイン思考を軸に、ユーザー認知・行動・文脈からWebサイトの課題を捉え直し、成果につながる設計へ落とし込むことを使命としている。システム設計、フロントエンド技術、SEO・パフォーマンス改善まで技術知識を横断し、サイト全体を見通したディレクションを得意とする。自動車メーカー、銀行・クレジットカード、保険などの大手から中小企業まで、数値で検証しながら改善を積み重ねる実践的なコンサルティングを提供している。






























