“付箋”が導く、ユーザー理解の一歩──アフィニティ・ダイアグラムとは

“付箋”が導く、ユーザー理解の一歩──アフィニティ・ダイアグラム(親和性ダイアグラム)とは

アフィニティ・ダイアグラム(親和性ダイアグラム)は、ユーザー調査で得られた発言や行動、感情などの情報を、付箋に書き出して視覚的に整理し、似た内容ごとにグループ化する手法です。
情報が断片的なままでは見えなかった“パターン”が、整理することで立ち現れ、そこからインサイト(洞察)を導くことができます。
この一連の流れそのものが、ユーザー視点でサービスやプロダクトを見つめ直す「デザインの出発点」となります。

紙でもデジタルでも。可視化することで気づきが生まれる

付箋を使ったグルーピングは、紙とデジタルのどちらでも実践可能です。

デジタルツールの例:

色分けされた付箋を自由に並べられるこれらのツールは、リモート環境でもチームの認識を揃えるうえで非常に有効です。
もちろん、ホワイトボードや壁に紙の付箋を貼るアナログな方法も効果的です。

観察をメモに変える:要点は「短く、明確に」

実際のリサーチでは、観察内容を1枚ずつ付箋に書き出します。
このとき大切なのは、限られたスペースに対して要点を端的に記す力。
あいまいな表現を避け、できるだけ“その人の声の核心”を抽出するように心がけます。
また、参加者ごとに付箋の色を変えることで、「誰がどんな意見を持っていたか」や「特定のパターン」が可視化され、後のグルーピングがスムーズになります。

グループ化によって、課題の共通点が見えてくる

すべての付箋が出揃ったら、次は類似性に基づいてグループ化していきます。
例えば以下のような声があったとします:

  • 3点メニューの場所がわかりづらい
  • ショッピングラベルの色を変更できない
  • 「ネスト」という言葉の意味がわからない

これらはすべて「混乱(Confusion)」に関するフィードバックとしてまとめられました。
同じような戸惑いが複数の参加者から出ていた場合、課題としての優先度が高いと判断できます。

テーマを定義する──意味を与え、構造をつくる

グループ化した付箋の集まりには、意味を与えるための「テーマ」を設定します。たとえばあるプロジェクトでは以下のように分類されました:

  • Useful(便利)
  • Getting Started(はじめの一歩)
  • Tone(トーン・言葉づかい)
  • Confusion(混乱)

テーマの定義は、インサイトを得るうえでの起点になります。
「確認画面が欲しい」「繰り返し予約ができると便利」などの声が集まれば、それは「安心感を求める」というテーマに分類でき、設計上の重要なヒントとなります。
分類が終わっても、それが完成ではありません。
一度立てたテーマを再構成することで、新たな視点や気づきが生まれることも多くあります。

まとめ

  • ユーザー調査で得た声や行動を付箋に書き出す
  • 内容の共通点に基づきグループ化し、パターンを発見する
  • グループに意味を与え、「テーマ」として構造化する
  • そのプロセスを通じて、ユーザーの潜在的なニーズや課題が浮かび上がる

アフィニティ・ダイアグラム(親和性ダイアグラム)は、情報をただ整理するためのツールではありません。 つながりを見出し、意味を与える──その行為自体が、デザインそのものなのです。 プロジェクトの方向性に迷ったときこそ、付箋を手に取り、ユーザーの声に耳を傾けてみてください。