前回の記事(Vol.4|小さく始めて、小さく勝つ(スモールスタート・スモールビクトリー))では、大きな改善を一気に進めるより、小さく試して成果を積み重ねる「スモールビクトリー」の考え方をお伝えしました。今回はその続きです。
あなたのWebサイトは、毎日何かを訴えているかもしれません。「このページ、わかりにくい」「ここまで来たけど、もう帰る」「このフォーム、面倒で途中でやめた」——言葉にはなっていませんが、アクセスデータの中に、ユーザーのそんな声がひっそりと刻まれています。それを読み取れるかどうかが、改善の質を大きく分けるのではないでしょうか。UXデザインの出発点を、サンアンドムーンは「サイトが語るデータを、ユーザーの声として翻訳すること」に置いています。
数字の「意味」を読む、という視点
「直帰率70%」という数字があったとします。これは良いのでしょうか、悪いのでしょうか。実は、この数字だけでは何もわからないのです。ブログ記事なら直帰率が高くても自然ですし、問い合わせページで70%の直帰率なら、少し気になるサインかもしれません。数字は「現象」を示してくれますが、その「意味」はページの目的や文脈と照らし合わせて初めてわかってきます。大切なのは「数字の良し悪し」ではなく、「この数字が示すユーザーの行動は何を意味するか」を読むことではないでしょうか。
「離脱」には、必ず理由がある
ユーザーがページを離れるとき、そこには何らかの理由があります。「探していた情報が見つからなかった」「次に何をすればいいかわからなかった」「読む気にならなかった」——これらはすべて、サイトの設計が解決できていないことのサインです。離脱の多いページを見つけたら、「このページでユーザーは何を期待して来たのか」を考えてみてください。その期待と、実際のページの内容がズレているとき、離脱が起きます。データは問題を教えてくれますが、解決策は「ユーザーの気持ちを想像すること」から生まれます。
「聴く習慣」が、改善を続けるチームをつくる
サイトの声を聴くことは、一度やれば終わりではありません。サイトは毎日変化し、ユーザーの行動も少しずつ変わっていきます。月に一度、主要なページのデータを見る時間を確保するだけで、「最近このページの滞在時間が短くなっているな」「このフォームで離脱が増えてきたな」といった変化に気づけるようになります。その気づきが、次の改善のきっかけになっていくのです。
まとめ
サイトのアクセスデータは、ユーザーの声が形を変えたものです。数字の表面だけを見るのではなく、「その数字が示すユーザーの行動の意味」を読み解くことが、質の高い改善につながります。定期的にデータを確認する習慣が、サイトを育て続けるチームをつくる第一歩になります。
記事監修

中谷 浩和
株式会社サンアンドムーン|代表取締役
1976年創業のデザイン事務所を前身に、Webコンサルティング・UI/UXデザインを専門とする。
国際標準のUX設計プロセスを学ぶ Google UX Design Professional Certificate を取得し、 上級ウェブ解析士 としてデータ主導のサイト改善にも精通。デザイン思考を軸に、ユーザー認知・行動・文脈からWebサイトの課題を捉え直し、成果につながる設計へ落とし込むことを使命としている。システム設計、フロントエンド技術、SEO・パフォーマンス改善まで技術知識を横断し、サイト全体を見通したディレクションを得意とする。自動車メーカー、銀行・クレジットカード、保険などの大手から中小企業まで、数値で検証しながら改善を積み重ねる実践的なコンサルティングを提供している。




























