ユーザーペルソナ:誰のためにデザインするのかを可視化する

ユーザーペルソナ:誰のためにデザインするのかを可視化する

ユーザーインタビューを実施し、発言や行動、課題が明らかになったら、次のステップとして「ユーザーペルソナ」を作成します。
ペルソナとは、リサーチから得た情報をもとに構築された、架空のユーザーモデルです。実在の人物ではないものの、あるユーザー群を代表する存在として、態度や目標、課題、行動などを明確に記述します。

ユーザーペルソナは、チームが「ユーザー視点」を一貫して持ち続けるためのツールです。特定の属性を持つユーザーの行動傾向や心理を1人のキャラクターに集約することで、ユーザーのニーズや状況をより深く理解し、共感を持って設計判断ができるようになります。

また、プロジェクトに関わるメンバー間でユーザー像の理解を共有できるため、UIや機能の優先順位、トーン&マナーなどに一貫性を持たせることができます。クライアントや他部門に対しても、設計意図をストーリーで伝える際の説得材料となります。

ペルソナに含めるべき構成要素

効果的なペルソナは、ただのプロフィール集ではありません。ユーザーの内面や行動、背景を踏まえた以下のような項目を盛り込みます。

1. 名前・年齢・職業などの基本情報
例:「佐藤陽子さん(36歳)」「東京在住・2児の母・フルタイム勤務」など、具体性のある属性を付与します。顔写真やイラストも合わせて掲載すると、チーム内での共通認識が深まります。

2. 個人的な引用(パーソナルクオート)
例:「アプリって難しいとすぐ使うのやめちゃうんです」「できれば誰かに頼らずに、自分で完結させたい」。ユーザーの性格や価値観を象徴する言葉を記載することで、共感しやすくなります。

3. 目標(Goals)
ユーザーが製品やサービスを使う理由。解決したいこと、理想の状態など。業務効率を上げたい、子育てとの両立をしたい、初めてでも安心して使いたい、などが挙げられます。

4. フラストレーション(Frustrations)
現状で困っていること、不満に感じていること。UIが複雑、操作に不安がある、専門用語が多くて理解できないなど、感情的な面も含めて記述します。

5. ストーリー(1日の流れや利用シナリオ)
「朝は忙しく、通勤中にスマホで確認するのが精一杯」「業務の合間に3分程度で情報確認できると助かる」など、文脈の中でサービスに触れるタイミングを描写することで、リアリティが高まります。

リサーチに基づいた「根拠あるペルソナ」が重要

ペルソナの作成で最も重要なのは、フィクションを最小限に抑え、実際の調査に裏打ちされた内容にすることです。
「こんなユーザーがいそう」という憶測ではなく、インタビューやアンケート、アクセス解析などのファクトに基づいてパターンを抽出します。

たとえば、10人のユーザーインタビューを通じて「忙しい時間帯に使われている」「機能よりも安心感が優先されている」などの共通項が見えたとします。それらを元に、「信頼性重視・時短志向」のような特徴を持ったペルソナを設計することで、実際のニーズに合った設計判断ができるようになります。

複数のタイプが存在する場合は、3〜4人程度のペルソナを用意するのが理想です。たとえば、初心者向け・リピーター・管理者・現場作業者など、それぞれ立場や目的が異なるペルソナを立てることで、幅広い視点を取り入れることができます。

ペルソナがプロジェクトにもたらす効果

ユーザーペルソナは、チーム全体が「ユーザーの代弁者」としてデザイン判断を行うための土台になります。
個々の好みによる主観的な判断を避け、ユーザー視点に根ざした一貫性のあるUX設計が可能になります。

特に以下のような場面で活用されます。

・要件定義や機能優先度の整理
・UIデザインにおける情報設計やインタラクションの決定
・コピーライティングやトーン選定
・サービスローンチ後のカスタマージャーニー改善
・クライアントへの提案資料における利用シナリオの提示

常に「この人だったらどう感じるか?どう使うか?」という視点に立つことで、プロダクトはユーザーに寄り添ったものになります。

まとめ

ユーザーペルソナは、UXデザインにおける「共通のゴールイメージ」をチームで共有するための強力なフレームワークです。
実在しない人物でありながら、リアルなニーズとストーリーを備えたペルソナを活用することで、プロジェクトの方向性がブレにくくなり、ユーザー中心のデザインが一貫して実現しやすくなります。

ペルソナは一度作って終わりではありません。ユーザーの利用状況や市場の変化に応じてアップデートしながら、継続的に“誰のためのサービスか”を問い続けることが大切です。

参考リンク