前回の記事(Vol.5|サイトの「声」に耳を傾けるとはどういうことか)では、アクセスデータをユーザーの声として読み解くことの大切さをお伝えしました。今回はシリーズの最終回です。
あなたの周りに、「10年前に作ったサイトなのに、今も問い合わせが来ている」という会社はありませんか。逆に、「去年リニューアルしたのに、全然反応がない」という声も耳にします。その差は、デザインの良し悪しでも、予算の大小でもないかもしれません。サイトを「育て続けているかどうか」の差ではないでしょうか。UXデザインの出発点を、サンアンドムーンは「成果は改善の数に比例する」という確信に置いています。
「育てる意志」がサイトの寿命を決める
長く成果を出すWebサイトに共通していること、その最大のポイントは「担当者やチームがサイトを大切に育てている」という事実ではないでしょうか。サイトを定期的に確認し、データを見て、小さな改善を積み重ねているチームのサイトは、確実に良くなっていきます。半年に一度アクセス解析を眺めるだけのサイトとは、1年後に大きな差がついていることがあります。「育てる」とは、毎日何かを変えることではありません。月に一度、数字を見て少し考える習慣を持つこと。それだけで十分かもしれません。
「完成させる」より「続ける」設計を
サイトを「完成させること」に力を注ぎすぎると、公開後の改善に力が残らなくなることがあります。大切なのは、「公開してからも動き続けられる仕組みをつくること」です。たとえば、更新しやすいCMS設計、担当者が一人でも確認できるシンプルな計測設計、月次で振り返るためのシンプルなレポート習慣——こうした「続けられる仕組み」があるサイトは、時間が経つにつれて少しずつ強くなっていきます。
このシリーズを振り返って
全6回を通じて、Webサイトの改善と運用について、私たちサンアンドムーンが大切にしている考え方をお伝えしてきました。「完成はゴールではなく仮説の提出」から始まり、「課題の言語化」「ユーザー認知のギャップ」「スモールビクトリー」「データをユーザーの声として読む」そして「育て続けること」。これらはすべて、「Webサイトは使われてはじめて価値を持つ」という一つの考え方につながっています。
まとめ
長く成果を出すWebサイトに共通しているのは、デザインの良し悪しではなく「育て続ける意志と仕組み」があることです。月に一度データを見て、小さな改善を積み重ねる習慣が、サイトを着実に強くしていきます。「完成させる」ではなく「続けていける設計をする」こと——それが、長期的に成果を生み出すWebサイトへの第一歩になります。
記事監修

中谷 浩和
株式会社サンアンドムーン|代表取締役
1976年創業のデザイン事務所を前身に、Webコンサルティング・UI/UXデザインを専門とする。
国際標準のUX設計プロセスを学ぶ Google UX Design Professional Certificate を取得し、 上級ウェブ解析士 としてデータ主導のサイト改善にも精通。デザイン思考を軸に、ユーザー認知・行動・文脈からWebサイトの課題を捉え直し、成果につながる設計へ落とし込むことを使命としている。システム設計、フロントエンド技術、SEO・パフォーマンス改善まで技術知識を横断し、サイト全体を見通したディレクションを得意とする。自動車メーカー、銀行・クレジットカード、保険などの大手から中小企業まで、数値で検証しながら改善を積み重ねる実践的なコンサルティングを提供している。




























