デザイン思考と問題解決：見えない課題に向き合う戦略的アプローチ

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1 デザイン思考と問題解決：見えない課題に向き合う戦略的アプローチ
- 1.1 デザイン思考とは何か？── “つくる前に、考える”ためのプロセス
- 1.2 問題解決とデザイン制作のプロセス──“思考と制作”は同じ地図を辿る
2 まとめ
3 参考リンク

デザイン思考と問題解決：見えない課題に向き合う戦略的アプローチ

デザインは“見た目の美しさ”から語られることが多いかもしれません。けれど、私たちサンアンドムーンは、デザインを「課題に寄り添い、解決へ導く手段」として捉えています。
そこに必要なのが「デザイン思考（Design Thinking）」というアプローチ。表層的なニーズではなく、ユーザーやクライアント自身も気づいていない“見えない課題”を掘り起こし、本質的な解決に導くための思考法です。

デザイン思考とは何か？──
“つくる前に、考える”ためのプロセス

デザイン思考（Design Thinking）は、「デザイン」という言葉から、グラフィックやレイアウトを想像されることも多いですが、実際は課題解決のための“考え方”を指します。
特に、ユーザー視点に立ち、試行錯誤を重ねながら最適解を導いていく創造的な問題解決のプロセスとして、近年は企業のDX推進やサービス設計にも広く導入されています。

このアプローチの特徴は、“正解探し”ではなく、“本質的な問いを立てる”ことに重きを置いている点です。ユーザーの声をただ聞くだけでなく、その裏に隠れた感情や行動の動機を深く読み解くことで、課題の本質をあぶり出し、そこから最適なアイデアを生み出していきます。

代表的な5つのステップは以下の通りです。

ステップ	説明
共感	ユーザーの行動や感情に寄り添い、深い理解を得る。観察・インタビューなどを通して、表に出ないニーズを探る。
定義	集めた情報から、ユーザーの「本当の課題」を明確に言語化。単なる要望ではなく、背景にあるインサイトを掘り起こす。
発想	フレームにとらわれず、柔軟かつ大量のアイデアを生み出す段階。ここでは「正解を出す」よりも「多様な視点を広げる」ことが重視される。
試作	アイデアを具体的な形にし、早期にユーザーの反応を得られるようにする。ペーパープロト、モックアップ、簡易UIなど。
テスト	実際のユーザーに試してもらい、フィードバックを通じて改善点を探る。学びを再び共感や定義フェーズに戻すことで、プロセスが循環する。

このように、デザイン思考は線形の手順というよりも、行きつ戻りつを繰り返す「スパイラル型の思考法」です。短期間で結果を出すだけでなく、ユーザーにとって本当に価値のある体験とは何かを模索し続ける、極めて実践的なアプローチです。

問題解決とデザイン制作のプロセス──“思考と制作”は同じ地図を辿る

「デザイン制作のプロセス」と「問題解決のステップ」は、見た目は違っても、内在する構造はよく似ています。なぜなら、どちらも“問題の発見”から“仮説の立案”“検証と改善”へと至る、思考のプロセスをたどっているからです。

たとえば、以下のように対応させてみると、その類似性がはっきりと見えてきます。

現状把握・課題抽出 ⇔ ヒアリング・現状分析
問題の背景や原因を調査し、現場の声を拾い集める。サンアンドムーンでは、クライアントの要望だけでなく、競合調査・アクセス解析・UXリサーチなどを通じて、今何が起きているのかを多角的に分析します。
課題の定義 ⇔ 要件定義・コンセプト設計
「誰の、どんな課題を、どう解決するのか？」を明確化。ターゲットユーザーのペルソナ設計やコンテンツ構造の再設計を通して、デザインの方向性に一貫性をもたらします。
解決策の立案 ⇔ ワイヤーフレーム・情報設計
複数の選択肢を検討しながら、ユーザー導線やページ構成を可視化していきます。アイデアを“言葉”から“構造”へと変換する段階です。
実行・検証 ⇔ デザイン制作・プロトタイピング
ロジックに基づいた設計をビジュアルへと落とし込み、プロトタイプとして具体的に実装。必要に応じてユーザビリティテストを行い、改善点を明らかにします。
評価・改善 ⇔ リリース後の改善提案
制作後もアクセスデータやユーザーの反応を分析し、改善案を継続的に提案します。私たちのデザインは、「納品して終わり」ではなく、「運用しながら育てていくもの」だと考えています。

このように、思考のプロセスと制作のプロセスは表裏一体。私たちが目指すのは、“見た目を整える”ことではなく、“課題を解きほぐすこと”。だからこそ、デザイン制作を「問題解決の思考プロセス」と捉え、構造と意味を丁寧に紡ぎ出していくのです。