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Vol.3|ユーザーは、思った通りに動かない

前回の記事(Vol.2|「なんとなく変えたい」から抜け出すために)では、「なんとなく変えたい」という感覚を課題として言語化することの大切さをお伝えしました。今回はその続きです。

「このボタン、絶対わかりやすいと思ったんですけど……」制作側が自信を持って設計したページでも、ユーザーはまったく別の行動をとることがありますよね。これは設計者の失敗ではなく、「自分と他者の認知は異なる」という人間の本質的な特性によるものかもしれません。UXデザインの出発点を、サンアンドムーンは「ユーザーの視点を知ること」に置いています。

「作った人」と「使う人」の認知のズレ

Webサイトを作る側は、そのサイトのことを誰よりもよく知っています。どのページに何が書いてあるか、どこをクリックすれば何が起きるか、頭の中に全体マップが描けている状態ですよね。これを「知識の呪縛」と呼びます。知りすぎているがゆえに、「これはわかって当然」という無意識のフィルターがかかってしまうのです。一方、初めてサイトを訪れるユーザーには、その地図がありません。どこに何があるかもわからず、自分の目的に関係のある情報を直感的に探しています。この認知のギャップが、「なぜ伝わらないのか」「なぜ動かないのか」の根本にあることが多いのではないでしょうか。

「見る」ではなく「観察する」という姿勢

ユーザーの視点を知るための一番の方法は、実際に「ユーザーがサイトを使う様子を観察すること」です。自分でサイトを操作するのではなく、初めて訪れた人がどこを見て、どこで迷い、どこで諦めるかを、横で静かに見ているだけで多くの発見があります。こうしたユーザーテストは、大規模な設備がなくても始められます。社内の別部署の方に5分間サイトを触ってもらうだけでも、思わぬ気づきが得られることがよくあります。サンアンドムーンでは、改善プロジェクトの初期段階でこうした観察セッションを設けることを大切にしています。

「ユーザーが間違える」のではなく「設計が教えていない」

ユーザーが思った通りに動かないとき、つい「使い方を理解していない」と感じてしまうことがあります。でもほとんどの場合、それは設計側が「どこに何があるか」を十分に伝えられていないことが原因です。ユーザーは間違えているのではなく、設計が案内できていない。この視点の転換が、より使いやすいサイトへの出発点になります。

まとめ

ユーザーが思った通りに動かないのは、設計者との認知のギャップがあるからです。「知識の呪縛」に気づき、実際にユーザーがサイトを使う様子を観察することで、改善のヒントが見えてきます。「ユーザーが間違える」ではなく「設計が伝えられていない」という視点に立つことが、本当に使いやすいWebサイトをつくるための第一歩になります。

記事監修

中谷 浩和

中谷 浩和

株式会社サンアンドムーン|代表取締役

1976年創業のデザイン事務所を前身に、Webコンサルティング・UI/UXデザインを専門とする。
国際標準のUX設計プロセスを学ぶ Google UX Design Professional Certificate を取得し、 上級ウェブ解析士 としてデータ主導のサイト改善にも精通。デザイン思考を軸に、ユーザー認知・行動・文脈からWebサイトの課題を捉え直し、成果につながる設計へ落とし込むことを使命としている。システム設計、フロントエンド技術、SEO・パフォーマンス改善まで技術知識を横断し、サイト全体を見通したディレクションを得意とする。自動車メーカー、銀行・クレジットカード、保険などの大手から中小企業まで、数値で検証しながら改善を積み重ねる実践的なコンサルティングを提供している。

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