前回の記事(すべての人に届くWebサイトへ。Vol.5|アクセシビリティは、SEOと同じ方向を向いている)では、アクセシビリティとSEOは、どちらも「人と検索エンジンに正しく伝わる設計」という同じ方向を向いていることをお伝えしました。今回はシリーズの最終回です。
今回のテーマは、アクセシビリティを「育てていく」という考え方です。一度整えたら完了ではなく、Webサイトとともに継続的に育て続けるという姿勢が、本当の意味でのアクセシビリティの実践です。私たちサンアンドムーンは、その「育てる」という姿勢にこそ、Webサイトの本当の価値があると感じています。
公開した瞬間から、変化は始まっている
Webサイトは、公開した瞬間から変化の中に置かれます。新しいコンテンツが追加される。デザインが部分的にリニューアルされる。新しい機能やフォームが実装される。季節のキャンペーンページが作られる。そのたびに、サイトの姿は少しずつ変わっていきます。これは、アクセシビリティの状態も同じです。公開時にはしっかり設計されていた構造やテキストが、更新を重ねるうちに少しずつ変化していくことがあります。新しく追加されたページの見出し構造が、既存ページと統一されていないかもしれません。急いで作成したバナー画像に、代替テキストが設定されていないかもしれません。Webサイトは「完成した状態」で存在し続けるものではなく、常に変化の途中にあります。だからこそ、アクセシビリティも「一度やって終わり」ではなく、継続的に確認し、整え続けることが大切なのです。
「小さく続ける」習慣が、アクセシビリティを守る
アクセシビリティを育てていくために必要なのは、大規模な取り組みではありません。コンテンツを更新するたびに「画像にalt属性は設定されているか」「見出しの階層は整っているか」「リンクテキストは具体的か」を確認する習慣——これだけで、アクセシビリティの状態は大きく変わります。サンアンドムーンでは、こうした「小さく続ける習慣」を更新フローの中に組み込むことをお勧めしています。特別な知識がなくても、基本的なチェックリストがあれば、担当者が一人でも確認できるようになります。
このシリーズを振り返って
全6回を通じて、「すべての人に届くWebサイト」をつくるためのアクセシビリティの考え方をお伝えしてきました。「特別な対応ではなく、すべての人への配慮」から始まり、見えにくさ・操作のしやすさ・言葉と構造・SEOとの関係、そして「育てていく姿勢」まで。これらはすべて、「Webサイトは多様な人々が使うものだ」という当たり前の事実から出発しています。アクセシビリティは、特定の人のための配慮ではなく、すべての人にとっての「使いやすさ」の積み重ねです。このシリーズが、皆さんのWebサイト運営の何かしらのヒントになれば幸いです。
まとめ
アクセシビリティは、一度整えたら終わりではなく、サイトの更新とともに継続的に育てていくものです。コンテンツを追加するたびにalt属性や見出し構造を確認する「小さな習慣」が、アクセシビリティを守ります。「育てる姿勢を持ち続けること」が、本当の意味ですべての人に届くWebサイトをつくるための第一歩になります。
記事監修

中谷 浩和
株式会社サンアンドムーン|代表取締役
1976年創業のデザイン事務所を前身に、Webコンサルティング・UI/UXデザインを専門とする。
国際標準のUX設計プロセスを学ぶ Google UX Design Professional Certificate を取得し、 上級ウェブ解析士 としてデータ主導のサイト改善にも精通。デザイン思考を軸に、ユーザー認知・行動・文脈からWebサイトの課題を捉え直し、成果につながる設計へ落とし込むことを使命としている。システム設計、フロントエンド技術、SEO・パフォーマンス改善まで技術知識を横断し、サイト全体を見通したディレクションを得意とする。自動車メーカー、銀行・クレジットカード、保険などの大手から中小企業まで、数値で検証しながら改善を積み重ねる実践的なコンサルティングを提供している。



























