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UXは“現象”ではなく“構造”を解く──表層の奥にある理由を探す

今回のテーマは、UXデザインにおける「本質」へのアプローチです。表層の改善だけにとどまらず、問題の構造を解き明かすことがなぜ重要かを考えていきます。

UXデザインの現場では、しばしば「どう解決するか?」が議論の中心になります。しかし本当に必要なのは、「なぜそれが問題になっているのか?」という問いを深く掘り下げ、問題の本質にフォーカスすることです。表面的な解決ではユーザー体験の根本的な改善にはつながりません。私たちサンアンドムーンがUXデザインの出発点を「問題の本質を問い続けること」に置くのは、現象を解決するより構造を解くことが、持続的な体験改善につながると考えているからです。

ユーザーリサーチは”症状”ではなく”原因”を探るためにある

UXリサーチの役割は、単に「うまく機能していない部分」を洗い出すことではありません。重要なのは、ユーザーの行動や判断の背後にある動機・期待・迷いといった見えにくい要素に光を当てることです。たとえば、あるユーザーが「次へ」ボタンを見逃したとして、それは単なる視認性の問題なのでしょうか?その背後に、「操作の流れが直感的でない」「ラベルの意味が曖昧」といった、構造的かつ認知的な課題が潜んでいるかもしれません。

リサーチインサイトは”発見”ではなく”観察”から生まれる

リサーチインサイトとは、新しい視点からユーザーやそのニーズを理解するのに役立つ観察結果です。強力なインサイトには、実際のデータに基づいており、リサーチの問いに答え、理解しやすく、共感を生み、具体的なアクションにつながるという条件があります。インサイトは感覚的なひらめきではなく、行動や発言の背景にあるパターンや傾向を見抜く中で育まれます。こうした視点が加わることで、UXリサーチは「気づき」だけで終わらず、意思決定や設計改善につながる実践的な資産となります。

表層の改善より、構造の理解を

ユーザーから具体的な改善要望が出ることもありますが、それをそのまま鵜呑みにすることは本質的なUX向上にはつながりません。一人の体験談に頼るのではなく、その体験を生み出した構造自体に注目する必要があります。「なぜその問題が起きているのか」「なぜユーザーがそのように感じたのか」——こうした問いを繰り返すことで、課題の背後にある本質的な構造が見えてくるのです。

部分ではなく、体験全体としての解決を

インターフェースの一部を改善することは大切ですが、それが全体のユーザー体験の中でどのような意味を持つかを忘れてはいけません。ボタンの位置やラベルの表現ひとつをとっても、それが前後の文脈や情報設計と調和しているかどうかが、UXの質を左右します。体験の一貫性を保ちながら、本質的な課題に対する改善を行うこと。それがプロダクトの信頼性と満足度につながります。問題の本質に夢中になることで、まだ見ぬ選択肢や可能性に出会えるのです。

まとめ

UXデザインで価値ある成果を生み出すには、目の前の不具合に即座に対処することよりも、「なぜそれが起きているのか?」という本質的な問いに向き合う姿勢が重要です。ユーザーの視点を深く理解し、問題の構造や背景に目を向けることで、表層的な改善では届かない本質的な体験向上が実現できます。解決策に夢中になるより、問題の本質に夢中になること。その姿勢が、より良いプロダクトと豊かなユーザー体験への第一歩になります。

記事監修

中谷 浩和

中谷 浩和

株式会社サンアンドムーン|代表取締役

1976年創業のデザイン事務所を前身に、Webコンサルティング・UI/UXデザインを専門とする。
国際標準のUX設計プロセスを学ぶ Google UX Design Professional Certificate を取得し、 上級ウェブ解析士 としてデータ主導のサイト改善にも精通。デザイン思考を軸に、ユーザー認知・行動・文脈からWebサイトの課題を捉え直し、成果につながる設計へ落とし込むことを使命としている。システム設計、フロントエンド技術、SEO・パフォーマンス改善まで技術知識を横断し、サイト全体を見通したディレクションを得意とする。自動車メーカー、銀行・クレジットカード、保険などの大手から中小企業まで、数値で検証しながら改善を積み重ねる実践的なコンサルティングを提供している。

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