今回のテーマは、BtoBサイトの問い合わせ改善です。「サイトを作ったのに反応がない」という課題に対して、UX設計の視点から実践的な改善ステップを整理していきます。
「せっかくWebサイトをリニューアルしたのに、問い合わせがまったく来ない…」そんな悩みを抱えるBtoB企業のWeb担当者は少なくありません。見た目や内容には問題がなさそうなのに、成果に結びつかない——その原因の多くは、サイト構造とユーザー導線、そして「行動を促す仕掛け」にあります。私たちサンアンドムーンがBtoBサイト設計の出発点を「ユーザーの行動を後押しする設計」に置くのは、問い合わせを生むのはデザインの美しさではなく、導線と仕掛けの精度だと考えているからです。
ページコンテンツ
なぜBtoBサイトは「反応がない」のか
BtoBサイトで問い合わせがゼロ、あるいはごくわずかという状況は、業種・規模を問わずよく見られます。その背景には、ターゲットニーズとコンテンツがズレている、情報設計が社内都合でまとめられている、CV導線がわかりづらくユーザーが迷子になる、問い合わせボタンが「存在しているだけ」で行動喚起できていない、といった要因があります。これらの課題は単なる「デザイン」や「言葉選び」だけでは解決しません。情報の構造と、ユーザーの心理に基づいた導線設計、そして適切なCVポイントの提示が重要です。
ステップ1:CV導線の見直しと構造の再設計
まず見直すべきは、ページごとの情報の流れと、そこから次の行動につなげるための導線設計です。多くのBtoBサイトでは、サービス説明ページで「伝えて終わり」になっており、次の行動への誘導が抜け落ちています。各ページの役割を整理し、ユーザーが自然にコンバージョンページへ進めるよう、導線を再設計することから始めましょう。特に問い合わせフォームは1クリックでアクセスできる位置に置き、ヘッダーやフッターにも常時表示させることが効果的です。
ステップ2:ターゲットに刺さるコンテンツ設計
BtoBサイトの閲覧者は、感情的な購買衝動よりも「課題解決」「費用対効果」「信頼性の確認」を重視します。そのため、商品・サービスの説明だけでなく、「どんな課題を持つ企業に向いているのか」「導入するとどう変わるのか」をわかりやすく提示することが重要です。導入事例や実績の提示は特に有効で、具体的なビフォー・アフターや業種別の活用シーンを設けると、読んでいるユーザーが「自社の話だ」と感じやすくなります。また、資料ダウンロードやホワイトペーパーの提供は、今すぐ問い合わせに至らないユーザーとの接点を維持するための有効な施策です。
ステップ3:問い合わせハードルを下げるUI設計
問い合わせが来ない理由のひとつに、「フォームへの心理的ハードルの高さ」があります。入力項目が多い、何が必要かわかりにくい、送信後にどうなるか不明——こうした不安がユーザーの行動を妨げています。入力項目は必要最低限に絞ること、プレースホルダーや補足説明で入力のヒントを提供すること、送信後の流れ(担当者から○日以内にご連絡します)を明示すること。これらの工夫がフォームのCVRを高めます。また、「まずは相談だけ」というライトな問い合わせオプション(無料相談・資料請求など)を用意することで、購入意欲が高くないユーザーも巻き込めます。
ステップ4:継続的な改善サイクルを回す
上記の施策を一度実施して終わりではなく、アクセス解析ツールと行動分析ツールを活用して継続的に改善を行うことが重要です。どのページで離脱が多いか、どのボタンがクリックされているか、フォームのどの項目で離脱しているかを定期的に確認し、PDCAを回し続けましょう。BtoBサイトの改善は即効性よりも継続性が大切です。小さな改善の積み重ねが、中長期的な問い合わせ件数の向上につながります。
まとめ
BtoBサイトで問い合わせが来ない原因は、多くの場合「情報設計」「導線設計」「フォームのUX」の3つに集約されます。それぞれを丁寧に見直し、ユーザーが自然に次のアクションへ進めるような設計を整えることが重要です。一度改善して終わりにせず、データをもとに継続的に磨き続けること。そのサイクルを回し続けることが、問い合わせを生み出すBtoBサイトへの第一歩になります。
記事監修

中谷 浩和
株式会社サンアンドムーン|代表取締役
1976年創業のデザイン事務所を前身に、Webコンサルティング・UI/UXデザインを専門とする。
国際標準のUX設計プロセスを学ぶ Google UX Design Professional Certificate を取得し、 上級ウェブ解析士 としてデータ主導のサイト改善にも精通。デザイン思考を軸に、ユーザー認知・行動・文脈からWebサイトの課題を捉え直し、成果につながる設計へ落とし込むことを使命としている。システム設計、フロントエンド技術、SEO・パフォーマンス改善まで技術知識を横断し、サイト全体を見通したディレクションを得意とする。自動車メーカー、銀行・クレジットカード、保険などの大手から中小企業まで、数値で検証しながら改善を積み重ねる実践的なコンサルティングを提供している。






























